VR元年(2016年)に書いた記事
※とあるメディアに書いた2016年9月6日の記事です。
この度、VR元年と呼ばれる記念すべき『2016年』を祝しまして、VR総合メディア立ち上げのお手伝いをすることになりました(2017年10月休刊)。
VR元年に、髙橋はこんなことを感じています。
初めてのコラムでいきなり長文で失礼しますが、ここには、高橋がVRメディアを始めるにあたっての気持ちを書きましたので、ぜひお付き合いください。
2007年ごろ、巷ではメタバースという言葉が流行しました。
メタバース、今となっては懐かしい言葉ですね。
言葉の初出は、米国のSF作家ニール・スティーヴンスンによる1992年発表の小説『スノウ・クラッシュ』の作中で登場するインターネット上の仮想世界の呼称でした。
VRの業界では、かのバーチャルリアリティの教科書『バーチャルリアリティ学』が、こんなふうに定義しています。
![](https://pyonta.tv/wp-content/uploads/2020/10/001.jpg)
舘 暲・佐藤 誠・廣瀬 通孝 監修
日本バーチャルリアリティ学会編
本書では、メタバースはVRアプリケーションとして定義されています。メタバースとは、3次元サイバースペースを持ち、自己投射てきるオブジェクト(アバター)が存在し、複数のアバターが同一のサイバースペースを共有し、かつその空間にオブジェクトが創造できるものとしています。
2006年から2007年にかけて、高橋は仕事&プライベートでどっぷりとこのメタバースにはまっていました。
早い話、そのメタバースって『セカンドライフ』なんですけど……。
メタバースでの思い出
これが、そのころの写真です。高橋のアバターですね。
![](https://pyonta.tv/wp-content/uploads/2020/10/003.jpg)
当時、高橋は自分のブログでこんな記事を書いています。
要約をすると、当時『セカンドライフ』内で人気だった『Neo Kowloon』という島(サーバー)にある賃貸アパート「世紀公寓」の一室を借りられる権利をヤフオク!で落札し、見事に住人になれたという話です。
『Neo Kowloon』は、1997年に発売された『クーロンズゲート』というPlayStation用のゲームを作ったスタッフが久しぶりに集結し、『セカンドライフ』にそのゲーム内の町の雰囲気を再現したという、まさに香港にあった九龍城のような雰囲気のサイバー空間だったのです。
そんな異質な空間に惚れ込み、高橋は毎日のようにアクセスし、そして気がつけばその町の空間に存在する一室を借りてしまったというお話です。
それでは、次のブログの記事を見てください。
これまた要約をすると、高橋の借りていた4階建てのアパートの他の階の住人とお友達になったお話です。
写真の奥にいるのが3階に引っ越してきたRamonaさん、そして左に座っているSM女王チックな方がRamonaさんのお友達Megさん。
いつの日からか『Neo Kowloon』に行けば、必ず誰か知り合い(アバター)に会えるという日々が続きました。
ここからちょっと大事な話
サイバーな空間、バーチャルな空間と言えども、そこに常に行くことができて、かつ歩き回ったり、誰かに会うなど集うことができれば、それは立派な空間として存在しうることが、このメタバースで証明されました。
『セカンドライフ』のようなパソコンの画面を通しての3次元空間への参加は、現在のVRでよく言われる没入感や実在感こそ希薄ですが、たとえば『Neo Kowloon』の入り口をまっすぐ行って、突き当たり右に曲がって、狭い路地を入っていくというような空間的な認識は、しっかりと体験として、そんな場所を本当に歩いたのと同じように、体験記憶として脳に焼き付きます(高橋は、ですが)。
![](https://pyonta.tv/wp-content/uploads/2020/10/006.jpg)
路地の先にある薄暗い階段を上がると、そこに高橋の事務所はある、という空間的認識はまさにリアリティを帯びた、町歩きの記憶です。
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狭いながらも楽しいわが家ならぬ、わが事務所。ここにたどり着くことは、たとえ酔っ払っていても容易です。なぜならば実際に脳内にはその場所が存在し、そして帰巣本能が働き、ちゃんと空間としてたどりながら帰れるわけですから。なんだか酔っ払って3Dゲームをやってめちゃくちゃに操作するのとはちょっと違った感覚です。
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それと、バーチャルな世界でのできごと、たとえば飛行船に乗って空を飛んだり、デートでパンダの着ぐるみを着てみたり、チャットでお話をしたり、ときには部屋の模様替えをしたりなどなど、実在はしないけど、バーチャルなできごとなのに、その空間で経験をしたことは、まさに実際にどこかに行ったような経験と変わらない感覚として思い出に残っています。
そんな楽しい日々を過ごしたある日、高橋にさらなる実在感に近い衝撃が走りました……。
![](https://pyonta.tv/wp-content/uploads/2020/10/Snapshot_880_02.jpg)
それはなんと、同じアパートの3階に住むRamonaさんが、突然、引っ越しちゃったのです!!
「うわー、なんてこった!?」
この喪失感たるや、小学生のころ、親友が夏休み明けに突然転校しちゃった、あの感覚!?
えー、なんで? どういうこと? 最初はうまくその感情を飲み込むことができませんでした。いやはやこの実在感は、超、超リアル……。
ここ『Neo Kowloon』のアパートは3カ月単位に契約を更新する有料コンテンツだったので、恐らく契約が切れるタイミングでRamonaさんは継続できずに突然消えちゃったんだと思います(自分の都合のいいように解釈)。
あのころの思い出
この話は、2007年の秋に起きた高橋の思い出です。
VRメディアを立ち上げるぞ!! と決まって、思い出したお話です。
あれからちょうど9年。今、『セカンドライフ』ってどうなっているんだろう? と気になり、実に約9年ぶりに『セカンドライフ』をインストールしてみました。実は、当時のアカウントは消してしまったので、今回は新たにアカウントを作ってみたんですが、9年も立つと操作方法とか忘れているし……。
そして驚くことに、なんと『Neo Kowloon』はまだありました。
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うわー、あのころの町並みのまんま!! 懐かしいなぁ。
たしかここをまっすぐ行って、突き当たりを右に曲がると、あの細い路地があるんだった。
そこかしこが懐かしい、町並み。あー、高橋の住んでいたアパートもあるじゃないか。ここだ、この階段だ!!
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前に撮った写真とまったく同じポーズで撮ろうとしたんだけど、もはや操作がおぼつかず、その再現性はありませんでした(笑)。でも、複雑な道順はしっかりと覚えてましたね。
そして、今、自分のいた部屋には誰か住んでいるか気になり、ちょっと訪ねたところ……。
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悲しいかな空き家です。というか、『Neo Kowloon』自体に人が少ないし。
バーチャルリアリティの可能性として
![](https://pyonta.tv/wp-content/uploads/2020/10/4tpQ2N7D3wOiHgskC4L2_2.jpg)
VR元年と呼ばれる今年(2016年)、バーチャルリアリティ環境は劇的に進化しています。
没入感、実在感も半端なく高まっている今日このごろ、みなさんはどれぐらいVRを体験なさっているでしょうか?
特に進化が著しい昨今のVRゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ)の性能は、本当にリアルに空間の中に入ることができ、そしてリアルにその中の人、物の実在感を感じることができるようになりました。
何よりも相手の視線を感じることができるのは、もはやエンターテインメントの可能性として、まったくもって新しい世界ではないでしょうか。そこにいる相手にドキドキしてしまう感覚が、映画や小説のドキドキとは明らかに違うこの感じは、クリエイターならほうってはおけない技術でしょう。
そこで感じる思い出は、もはやこれまでの高橋がメタバースで経験してきたものを遙かに越えて、それはそれは凄いことになっちゃうんでしょうね。
最初に、とても長いコラムで失礼しました。最後まで読んでいただき感謝です。
これから、VRの何がどう凄いのか? 実際に高橋の体験を持ってみなさまお知らせできたらいいなぁと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
編集長 高橋ピョン太
p.s.この仕事を通じて、またRamonaさんに再会できたらいいなぁ。
え、実際に会いたいかって?
いやいや、だってRamonaさんってアバターでは女性でしたけど、本当に女性だという保証は……。あくまでもバーチャルな空間でお会いしたいですというお話です(笑)。
という記事を書いてました。
今もVRや仮想空間に関しては、変わらない気持ちです。サイトも記事がなくなってしまったので、ちょっと昔の記事を編集して自分のブログに載せて置くことにしました。
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